多汗症レベル3の岡本です。
最近、サイレント・ハンディキャップ(沈黙の障害)という言葉を知り、以下のツイートをしました。
ダーマドライの紹介ページに次のように書かれてありました。
多汗症に悩む方々が自身の状態を医療専門家に話すことはめったにありません。このことから、多汗症は「サイレント・ハンディキャップ(沈黙の障害)」とも呼ばれています。
サイレントってなんだかしっくりくる。本当にそうだと思う。
— アセアセの実 (@aseasenomi) June 13, 2019
サイレント・ハンディキャップという言葉は、イオントフォレーシスの機械を販売しているカナダの会社、ダーマドライの公式ページに書かれていたものです。
サイレント・ハンディキャップの意味
サイレントハンディキャップを日本語訳すると「沈黙の障害」という意味になります。ダーマドライの説明だと
「多汗症に悩む人は自身の症状を専門医に話すことはめったにない」
ということがサイレントの部分に当てはまるとのこと。
皮膚科のお医者さんであっても、多汗症に対する知識をしっかりと持った方は少ないのが現状です。なぜなら、多汗症の悩みが軽視されていることと、多汗症を治せる完璧な手術方法や効果的な治療方法が未だにないからでしょう。
ETS手術で手汗を改善できますが、その代わり副作用の代償性発汗が高確率で起きます。しかも一度手術をすると元に戻すのはとても困難。代償性発汗がどの程度現れるかは個人差があり、ある意味ETS手術は賭けの要素がある治療方法です。
私がこのサイレントハンディキャップという言葉に感じた意味としては以下の2点があります。
ポイント
- 多汗症が世の中に認知されていない
- 悩みを打ち明けても理解されにくい
この2点においても、多汗症がサイレント・ハンディキャップだと言えるのではないでしょうか。
これらを深掘りしてみます。
多汗症が世の中に認知されていない
世の中にはさまざまな病気がありますが、多汗症に関してはそもそも病気であるという認識がされていません。そのため、“多汗症” という言葉自体を知らない方が多いです。
多汗症という病気を知らないため、多汗で悩んでいる人に対して簡単に「そんなに気にするな」とか「俺だって汗くらいかくぞ」などと発言してしまいます。
原発性局所多汗症
ですが多汗症はれっきとした病気です。交感神経が異常に働いてしまい自分では制御できない量の汗を発汗してしまうのです。顔や頭、背中や腰から汗をかく人もいますし、私の場合は手・足・脇から多くの汗が出る原発性局所多汗症です。
原発性という意味を調べてみると。
原発性(げんぱつせい)とは、最初の、第一の、という意味である。 疾患が、他の病気の結果として引き起こるのではなく、その臓器自体の病変によって引き起こされる場合を原発性という。 原発性がつく病名としては、原発性硬化性胆管炎や原発性免疫不全症候群などが挙げられる。
説明が少し難しいですが、原発性というのは他の病気が原因で汗が出るわけではなく、何らかの原因で病的に汗が出ているということでしょう。
多汗症患者ですら病気という意識が低い
ここまで多汗症いついて調べようと思うきっかけになったのは、私自身が手汗の動画をYouTubeにアップし数年が経過してのことでした。なぜか手汗を出す動画が爆発的にヒットしたことで、再び手汗について深く調べてみることにしたのです。
ですがそれまでの20年間にも、インターネットはあったわけですから多汗症についてもっと詳しく調べようと思えばできたわけです。でもそれをしようとは思わなかったのは、一度専門医に見てもらいその当時のETS手術などの説明を一通り聞き、現代の医学では完璧に治すことができないことを知ったからです。
また、生死に関わる病気でもなくそもそも世の中に認知してもらえず周りに理解者もいないことも原因だったかもしれません。
そういう意味ではとても孤独な病気だとも言えます。多汗症による不便な日常が当たり前になっていて、改善することすら諦めている状態がずっと続いていたのです。
悩みを打ち明けても理解されにくい
多汗症で悩んでいることを、身近な親や友達に打ち明けたところで、その辛さを理解してくれる人はほとんどいません。
運良く相談相手が汗かきなタイプであれば、ある程度共感してくれるかもしれませんが、結局のところ相談相手が多汗症でない限り理解は難しいです。
その原因は、そもそも汗をかくということはどちらかと良いイメージがあるからです。スポーツで汗を流すことで代謝が促され老廃物が排出されることによる健康効果というイメージです。
それ自体は間違っていないので、多汗症に悩んでいると伝えたところで
「そんなに気にするな」
「汗は誰だってかくものだぞ」
「汗をかくのは健康によいぞ」
というこちらの悩みとはむしろ真反対の反応が返ってきたりします。
もちろん根気よく、多汗症の本当の辛さを相手に伝え続ければ、ある程度理解してもらえるかもしれませんが、そこまでしっかり話を聞いてくれる人はそんなに多くはありません。
これは 治療をせずに多汗症を改善する3つの方法 でもお話ししましたが、多汗症を理解してくれないどころかこちらがカミングアウトしてもバカにしてくるような人もいるので、そのような人とは距離を置くのが良いです。
多汗症で悩んでいても、周りの人たちの理解のなさによって、自分自身も多汗症について「悩んではいけない」という間違った認識をしてしまうこともあるでしょう。
多汗症はサイレント・ハンディキャップ
これらの理由から多汗症がサイレント・ハンディキャップであるということがとてもしっくりくると感じます。
まとめると次の3つの理由になります。
ポイント
- 病院で診察を受けることが少ない
- 多汗症が世の中に認知されていない
- 悩みを打ち明けても理解されにくい
今後も、サイレントハンディキャップという言葉を動画やこのブログでは使用していきたいと思います。まだ日本ではほとんど使われていないようで、検索しても全くヒットしませんでした。
多汗症という病気がもっと世の中に認知されて、さらに言えば根本的な治療方法が発見されるのが一番良いですね。